令和6年度施政方針

更新日:2024年03月19日

令和6年3月河北町議会定例会の開会にあたり、はじめに、元旦に発生した令和6年能登半島地震の震災によって亡くなられたすべての方々の、ご冥福を心からお祈りします。また、被害に見舞われ、厳しい生活を送っておられる被災者の方々に、改めてお見舞いを申し上げます。

それでは、令和6年度一般会計及び特別会計予算案をはじめ、関係諸議案のご審議をお願いするに当たり、私の町政運営に対する基本方針と新年度の主な施策の大要を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とより一層のご協力を賜りたいと存じます。

私は、平成31年2月、町長に就任以来、まちづくりの基本を「動く つながる 夢叶う」として、「子どもに夢を」、「若者に自信を」、「みんなに元気を」との思いを込め、町政運営に邁進し、豪雨災害からの復旧、治水対策の強化、新型コロナウイルス感染症対策への機動的な対応に取り組むとともに、子育て支援の充実や高齢者の買い物、通院タクシー支援など少子高齢化に対応した生活支援、増加する空き家対策に、正面から取り組んでまいりました。この間、人口減少、特に出生者数の減少が加速するとともに、物価高騰の長期化や酷暑など気象変動の加速化に直面する中で、議員各位そして町民の皆様のご理解、ご協力、ご尽力をいただきながら、町政運営に全力を傾注してまいりました。

そして今、町政を取り巻く現状、課題を考えるとき、未だ残る新型コロナウイルス感染症の影響や物価高騰の長期化、人手不足や賃上げ、働き方改革など、直面する課題に対応しながら、2期目の政策の3つの柱「安全・安心・成長の基盤づくり」、「農商工観光業の振興と雇用の創出」、「次世代につなぐ支援、投資」によるまちづくりを町民の皆様とともに進め、新しい「成長の芽」を地域に根付かせる必要があると考えております。

当面、押切・吉田、溝延両地区の築堤整備が本格化するとともに、児童の減少が進む中での小学校のあり方の検討、深刻な医師不足が続く中での西村山地域医療体制の方向づけが大詰めを迎えています。また、子育て支援の充実・拡充に継続的に取り組むとともに、児童動物園のリノベーションプロジェクト、道の駅の再生プロジェクト、利活用も含めた空き家対策の拡充、住みたいまちづくり、住み続けたいまちづくりにつながる移住定住の推進、利便性の高い地域公共交通の再構築、ゼロカーボンかほく実現への加速、自治体DXの推進等、いずれも将来のまちづくりの根幹に関わる政策課題であり、次世代につなぐビジョンを持って取り組まなければなりません。

引き続き、誠心誠意、町政に全力を傾注してまいりますので、町民の皆様、議員各位におかれましては、一層のご支援を賜りますようお願い申し上げるものであります。

令和5年度の町政課題に係る状況につきましては、新型コロナウイルス感染症について、昨年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行し、これに伴い、政府の基本方針や業種別ガイドラインが廃止され、これまでのような行動制限を求めず感染対策は個人に委ねられました。また、ワクチン接種については、引き続き集団接種を基本として、65歳以上の方など重症化リスクが高い方が対象の「春開始接種」を9月19日まで実施しました。9月20日以降は初回接種を完了した生後6か月以上の方が対象の「秋開始接種」を令和6年3月31日までの実施期間で地元医師会や関係者の協力により、希望する方々を対象に費用負担なしでワクチン接種を進めております。令和6年4月1日以降は、65歳以上の方等を対象に、他の定期接種と同等の支援を実施の予定であります。今後も具体的な検討を踏まえ、国、県の施策・対応と連動しながら対応してまいります。

また、ロシアのウクライナ侵攻・中東ガザ地区の紛争など、軍事衝突が長期化、深刻化しており、今後も不安定な国際情勢が続くことが見込まれるとともに、気象災害の頻発化・激甚化も相まってエネルギーや食料の安全保障をめぐる情勢は深刻さを増し、石油製品や電力料金の高騰、資材、原料価格の高騰、ひいては物価、サービス価格の上昇が暮らしと経済活動を直撃し、その長期化も懸念されます。このような厳しい社会経済環境の下で、非課税世帯への給付金事業や町民の家計支援と地域活性化を目的にした「かほくほくほく応援券」の発行事業、営農継続のための農家への支援事業、事業継続のための町内福祉施設への支援事業、低所得者の子育て世帯で住民税均等割のみ課税世帯への給付金事業を行っているところであります。また、子育て世帯への家計支援として、高校生までの医療費の無料化や学校給食費の完全無償化、放課後児童クラブの運営支援の拡充などに取り組むとともに、高齢者等を対象とした通院・買い物などのタクシー利用の助成を本格実施するなど、町民が安心して暮らせる環境整備に取り組んできました。

令和2年7月の豪雨災害からの復旧・復興につきましては、最上川中流・上流緊急治水対策プロジェクトに押切・吉田地区、溝延地区の築堤整備が位置づけられ、同時に支川である古佐川については、国直轄事業と並行して県による事業として施工することになり、国直轄事業につきましては用地買収も進み、事業が本格化しています。国直轄事業の「押切・吉田地区堤防整備事業」では、関係者のご理解の下、用地買収と築堤整備を並行しながら進められております。「溝延地区堤防整備事業」では、管理道路の整備と並行し輪中堤の用地調査が進められております。県事業の「古佐川河川整備事業」では、用地調査と並行し一部用地買収が進められております。

町といたしましても、内水対策を中心に、谷地工業団地内の排水路整備を継続して行うほか、押切地区の排水処理施設整備に向けた実施設計を進めるとともに、槙川上流域において、水田の多面的機能を活用した田んぼダム整備事業に取り組むなど、流域治水プロジェクトに掲げる諸施策の推進を通して、安全・安全な暮らしの基盤づくりを進めております。

全国的に社会問題となっている空き家対策については、新たに防災危機管理課に空き家対策室を設け、相談会の開催、老朽危険空き家除却事業費補助金制度の創設、代執行による危険空き家の除却、特定空き家への指導・勧告、利活用を促す広報周知に努めてまいりました。

また、教育を取り巻く環境の変化や急速に進む児童生徒数の減少等が進展する中にあって、未来を担う人材育成の核となる学校教育の振興と学習環境の整備は喫緊の課題であり、ICT学習環境の整備や施設の維持管理、さらには、カヌー練習場の整備、新たな教育環境整備を見据えた小学校のあり方の検討、県立谷地高校の存続に向けた各種支援に取り組んでおります。

国の令和6年度予算は、令和5年度補正予算と一体として、足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民間主導の持続的な成長実現に向け、人への投資、科学技術の振興及びイノベーションの促進、GX、DX、半導体AI等の分野での国内投資の促進、海洋、宇宙等のフロンティアの開拓、スタートアップへの支援、少子化対策・こども政策の抜本強化を含む包摂性の高い社会の実現など、新しい資本主義の実現に向けた取り組みを加速し、防災・減災、国土強靭化など、国民の安全・安心の確保等、重要な政策課題について、必要な予算措置を講ずるとしております。

国が発表した地方財政対策では、令和6年度においては社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中、地方団体が住民のニーズに的確に応えつつ、こども・子育て政策の強化など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方交付税等の一般財源総額について令和5年度を上回る額を確保することとし、地方財政計画の規模は、総額93兆6,400億円で前年度と比較して1.7パーセントの増加となっております。歳入では、地方税が0.3パーセントの減少、地方譲与税が5.0パーセントの増加、地方交付税が1.7パーセントの増加見込みとなっております。また、定額減税による個人住民税の減収は、地方特例交付金により全額国費により補填し対応するとしています。

次に、県の令和6年度予算案においては、「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向け、「県民の安全・安心な暮らしの確保」、「県民一人ひとりの希望の実現・総活躍の促進」、「産業・企業の活性化と未来を見据えた成長力の強化」、「地域に活力をもたらす国内外との交流の拡大」の4つを県政運営の柱に据え取り組みを強化するとともに、県民生活・地域経済へ影響を及ぼす喫緊の課題に迅速かつ的確に対応していくとしております。

町政を取り巻く諸情勢や直面する政策課題を踏まえ、希望を持って暮らせるまちづくりに向け、町民各位の負託と期待に応えるべく本町の令和6年度の町政運営及び予算編成について所信を申し上げます。

令和6年度は、「第8次河北町総合計画」の計画期間の4年次目、町制施行70周年を迎える年となります。まちづくりの基本となる総合計画に基づき、「安心・成長の基盤づくり」に「挑戦」、「投資」し、新しい「成長の芽」を地域に根付かせるべく、3つの柱のもと、町民の皆様とともに、「輝く人・町 夢と未来へ挑戦するまち」の実現に向け取り組んでまいる所存であります。

一つは、「くらしへの応援」であります。加速する人口減少に対応するためには、地域経済の活性化、子育て支援の充実とともに、魅力的な住環境の整備と利便性の向上につながる地域公共交通の再構築が重要であります。そのため、「住みたいまちづくり、住み続けたいまちづくり」を進めるため、現在の「まちづくり推進課」を「くらし応援課」に改編し、魅力ある居住環境の整備、移住定住促進施策の拡充と地域公共交通の再構築に向けた調査研究に着手してまいります。また、増加している空き家についても、その利活用のためのリフォーム支援を行うとともに、「ゼロカーボンかほく」に向けた住宅改修支援を継続しながら良好な居住環境の整備を進めます。

二つめは、「次世代につなぐ挑戦、投資」であります。人口減少を押しとどめるには、出生数の減少に早急に歯止めをかけ、増加に転じなければなりません。そのため、子育て世帯の負担軽減や保育・教育環境の整備充実などを最優先事項として取り組んでおりますが、「こどもみらい課」を新設し、組織を強化しながら、こども・子育て政策の取り組みを加速してまいります。

また、地域経済の活性化、産業振興を図るため、農業については、農業所得の向上と担い手・新規就農者の育成を起点とした振興を図ってまいります。商工業については、重層的な起業支援を確立するとともに、働き手の確保や資材エネルギー高騰などに対応できる中小の事業所への支援、誘致企業の経営環境の整備、支援を通して、産業振興と雇用創出と安定を図ります。

新庁舎とともにまちなかの賑わいの核となる児童動物園については、来園者と動物にやさしい魅力的な施設となるようリノベーションプロジェクトを展開してまいります。

三つめは、「安全・安心の基盤づくり」であります。豪雨災害への対応として国・県による治水整備が進められております。これら対策と連動し、町としても内水処理対策を実施し、町民の命と財産を守る防災減災対策を講じてまいります。

また、深刻な医師不足により弱体化が進行している地域医療については、村山地域、西村山地域の地域医療を確保していくうえで、基幹病院としての県立河北病院の重要性は今後とも不変であり、町民、利用者が良質な医療が受けられる医療の確保、将来に希望をつなぐ持続可能な医療提供体制の確立に向けて、今後とも検討、協議に最善を尽くして臨んでまいります。

以上申し上げました町政運営の方針を念頭に、第8次河北町総合計画に示した5つのまちづくりの目標毎に定めた基本施策の下、令和6年度予算案におきましては、健全で持続的な行財政運営の確保に留意しつつ、現状を直視し未来を展望するため「くらしの応援による住みよいまちづくり」、「オールかほくで応援する子育て支援・人づくりへの投資」、「にぎわいづくりと産業振興」、「安全・安心なまちづくり」の4つを重点施策として位置づけて編成したところであります。

一つめの「くらしの応援による住みよいまちづくり」については、新たに移住するための空き家改修費用の支援や定住促進住宅をリノベーションして提供するなど、移住定住促進に向けた住環境整備に取り組んでまいります。さらに、ふるさと回帰支援センター等と連携した首都圏でのPRを強化し、地元回帰と移住定住を推進するとともに、地域おこし協力隊員の定住・定着を図るため任期終了後の起業を支援してまいります。

地域公共交通は、自動車免許を有していない子どもや学生、高齢者等、自動車に頼ることができない方々にとって、通勤、通学、買い物、通院などの移動手段として日常生活を支える重要な社会インフラの一つであります。町営バスの運行や高齢者等を対象にした通院、買い物などに利用できるタクシー利用助成事業、高校生等の通学を対象にした山交バス利用助成事業に継続して取り組むとともに、既存の民間の公共交通事業や町が運営する路線バス事業を含めて利便性向上につながる地域公共交通の再構築に向けた調査研究に着手します。

二つめの「オールかほくで応援する子育て支援・人づくりへの投資」については、小中学校給食費の完全無償化、出生時に10万円、小学校入学時、中学校入学時、高等学校入学時等に5万円を給付する「かほく安心子育て応援給付金」を継続するほか、新たに、こども園等の3歳児以上の副食費を無償化するとともに、0~2歳の保育料について、国基準の「所得階層8区分」のうち無償化されていない第5区分の世帯の保育料の負担軽減を実施するなど、子育て支援の取り組みをさらに拡充します。

また、子育ての悩み・不安・負担に対応するため、現在の3つの子育て支援センターに加え、母子健康包括センターを設置し対応してまいりましたが、児童福祉と母子保健機能を集約し、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもに対し、一体的に相談支援を行う機関として、「こどもみらい課」に新たに「子ども家庭センター」を設置し、母子保健・児童福祉の両機能の連携・協働を深め、子育てに困難を抱える家庭に対して、切れ目なく、漏れなく対応してまいります。

県立谷地高等学校への支援につきましては、情報発信コーディネーターの配置や楽弁支援、通学助成を継続するとともに、新たに、就学応援券による支援、学習支援のアプリ導入への支援や谷地高等学校を支援する会と連携した支援により魅力向上と入学者確保につなげてまいります。

三つめの「にぎわいづくりと産業振興」については、活力ある地域づくり、地域経済の活性化に向けて、秘伝豆・イタリア野菜等の町産品の販路拡大やワイン醸造の支援、新規就農者への家賃補助・農業用機械購入支援、経営資源を互いに持ち寄り所得向上につなげる農商工連携推進プロジェクトを推進し、所得の確保と新規就農者の確保・育成につなげてまいります。

また、店舗の魅力アップ、特産品開発などの支援を継続し、新たな起業支援として、起業に係る初期投資経費の補助と融資に対する利子補給を行う新たな支援制度を創設し、起業支援の充実と地域経済の活性化を図ってまいります。

新庁舎とともにまちなかの賑わいの核となる児童動物園については、令和7年4月のリニューアルオープンに向け、来園者と動物に優しい環境整備、来園者がわくわくする魅力的な施設となるよう改修してまいります。また、気軽に、身近に、いつでも動物たちと会うことができる児童動物園として、その魅力発信を強化するとともに、動物園のブランディング化にも着手します。

四つめの「安全・安心なまちづくり」については、「令和2年7月豪雨」により、県内最大の住宅、事業所、農地への浸水被害となりました。災害に強いまちづくりを目指して、引き続き国が進める押切・吉田地区、溝延地区の堤防整備事業、関連して県事業で整備する古佐川の治水対策事業について、早期完成に向けて取り組むとともに、町としましても、国、県、関係機関、団体と連携しながら、水田の多面的機能を活用した田んぼダムや押切地区への内水処理ポンプの設置など、内水対策の強化、拡充に取り組んでまいります。

また、空き家問題については、安全・安心な住環境の確保に向けて、新たに、全ての空き家を対象とした除却支援や空き家管理システムを導入するとともに、空き家の適正管理を促すための周知・啓発を強化し取り組んでまいります。

町制施行70周年記念事業につきましては、町民の皆さんとともに祝い、これからのまちづくりに町民の総力を結集していく契機とするため、記念式典やイベントなど、多くの町民が参加できる様々な事業を計画してまいります。

以上、令和6年度一般会計当初予算案については、総額が107億4,800万円となり前年度に引き続き100億円を超える規模となりました。予算の執行にあたっては、町民の皆様との「対話」を起点に、「参加と連携」による町政、「相互共助の町づくり」を視点に、職員一丸となって進めてまいります。なお、一般会計及び各特別会計の主な歳入歳出予算については、提案理由で改めてご説明申し上げます。

以上、令和6年度の町政運営について、所信の一端を申し述べてまいりましたが、中長期的財政見通しのもと、健全な財政運営に十分意を用いながら、「輝く人・町・夢と未来へ挑戦するまち」を目指し、山積する課題に果敢に立ち向かってまいります。議員各位並びに町民の皆様には、より一層のご指導、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和6年度に向けた施政方針とさせていただきます。

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