知る人ぞ知るパワースポット

更新日:2024年02月26日

伝説の産婆さん 高木もよ さん

高木もよ

凛とした空気を感じる溝延八幡神社の境内の東側、鳥居の横に女性が座っている像が祀られています。

今からおよそ160年前の慶応3年に溝延村に生まれ、60年間の長きにわたり産婆(助産師)として活躍され、社会科の副読本にもなった「一万人の母 産婆 高木 もよ」 さんの像です。

もよさんは、18歳の時に地元の村で産婆の道を歩み始めました。人柄はとても温かく、たくましい女性だったようで、昼であれ夜であれ、雨の日も風の日も猛吹雪の夜でも、地元はもとより周りの村などどこまででも歩いて出かけ、お産を助けてきました。産婆をやめるまでの60年間で、もよさんの手により産声をあげた子どもの数は一万人を超えるといいます。

産婆としての技術が高く、仕事はかなり繁盛しましたが、7人の子供を育てながらの家計は決して楽ではなかったそうです。しかし、もよさんは、困っている人からは出産費用や薬代をもらわないことも多く、それどころか、自分の着物をほどいて、産着やおしめを縫って持って行ってあげたり、ボロボロの長靴を履いている子どもには、自分の新しい長靴と交換してあげたりもしたそうです。

戦争が始まり、自分が取りあげた子どもたちが次々と戦地に向かうようになると、必ず見送りに出かけ、一人一人の肩に手を当てて、「産んでくれた親のところに、生きて帰ってきなさい。」と、小さな声でささやき送り出しました。そんな言葉を口にするものなら、非国民と呼ばれた時代でしたが、それでも産婆として命が生み出される場に立ち会い、命の尊さを誰よりも心にとめていたもよさんは、親が与えてくれた命を粗末にしてはいけないと、強く願ったのです。

まさに一万人の母、高木 もよ さんの像は、鎮守の森のそばで、今も微笑みながら地域の人々や子どもたちの命を見守り続けています。

ちなみに、この像を作るための写真を撮る際、慣れない撮影で表情が硬かったため、家族が飴をなめさせて写真を撮ったのだそうです。

山形県有形文化財の溝延八幡神社と山形県天然記念物の樹齢700年を超える大けやきのお隣に静かに鎮座しているこの場所は、知る人ぞ知る安産・子育てのパワースポットとなっております。

高木もよ

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